高校生の不登校の原因は?最新データやサポート方法を解説!
高校生のお子さんが不登校になってしまうと、
「もう子どもじゃないしサポートの仕方がわからない」
「大学受験はどうしたらいいの?」
「留年したらどうしよう」
など、様々なことが不安になってしまうと思います。
高校は中学までと違って義務教育ではないので留年の可能性も高く、また将来のことを考えれば、進学をあきらめてしまう訳にもいきません。
そこで今日は、不登校の現状などの資料を紹介しながら、親御さんに役立つ情報やサポート方法を解説していきます。
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不登校の高校生の人数と割合
2022年の資料によると、高校生の不登校生の数は、60.575人で、前年度と比べると5万4108人(22.1%)増えています。
また不登校の高校生の割合は、2.0%(前年度1.7%)で、こちらも増え続けている状態です。
ただし、「欠席日数が30日未満の子ども」はこの人数に含まれていないので、不登校予備軍などの子どもを入れると、潜在的な不登校生の数や割合はもっと多いと言えます。
高校生が不登校になる原因
では、子どもが不登校になってしまう原因はどんなことなのでしょうか?
文部科学省の調査で圧倒的に多いのは、「無気力・不安」で、次が「生活リズムの乱れ」です。また「進路に係わる不安」も不登校に大きく影響しています。
無気力・不安
高校生になると、子どもは自立しようと成長していきますが、自分の思う通りにいかないことが多く、それがきっかけで落ち込み、動けなくなってしまう子どもは多いです。
また思春期特有の、「なんだか原因はわからないけど、無性に不安な気持ちになる」ことも多く、不安の渦に巻き込まれてしまうと、どこまでも落ち込み続けてしまいます。
生活リズムの乱れ
高校生はもう大人のようにふるまい、行動できる年齢でもあります。そのような年齢になってから、繁華街などで素行のよくない友人と知り合ってしまい、そのまま非行に走ってしまう場合は多いです。そして学校に行かなくなり、高校は退学してしまうケースが多いようです。
入学・進級の新しい環境に適応できない
高校は入学するのに受験があるので、自分が望んだ学校ではない場合もあります。また、勉強もさらに難しくなってくるので、授業についていけなくて、「もう追いつく気がしない」など、落ち込んでしまう場合があります。
このように、「想像した高校生活と何か違う」と感じる子は、今まで頑張ってきた子が多く、「頑張ったのに報われない」と不登校になってしまいます。
調査結果には、高校生の不登校の原因はこの3つが上位をしめますが、これ以外が原因のことも多いです。なぜなら、不登校の原因というのは、子ども自身にも「分からない」場合が多いからです。なぜなら思春期特有の悩みや不安は、言語化することが難しいからです。
不登校の高校生が直面する課題
不登校になってしまった高校生は、学校に行かないことで新たな悩みを抱えてしまいます。不登校になってしまうと、例外なく子どもは自分に対し、罪悪感を抱えてしまうので、以下の3点については早急に対処してあげる必要があります。でないと、子どもはまずます自信を失い、結果として不登校が長引いてしまうことになります。
学業の遅れ
不登校になってしまうと、学校の授業に参加できなくなるので、当然のことながら勉強が遅れてしまいます。また、「勉強の遅れ」「授業についていけない」ことに悩んで登校できなくなってしまう子も多いので、学業の遅れは深刻な問題です。
特に行きたい大学が決まっている場合には「このままじゃ到底、合格できない」と、現状に絶望してしまう場合があります。
将来への不安
高校生になると進路についての悩みが深くなります。受験を控えた、人生の大切な転換期であることに加え、進学できそうな大学から、その先にある就職先まで、かなりハッキリと見えてしまうからです。
「見えるんだから不安に思うことないじゃない」と大人は思うかもしれません。でも前述した通り、若いうちは自分の人生が思う通りにいかないことの焦りや不安がつきまとい、離れなくなってしまいます。そのような状態になってしまうと、鬱病を発症してしまう場合もあります。
友人との関係
不登校の原因に「いじめを除く友人関係をめぐる問題」が上位にあるように、高校生になると、完全に親から独立した気分になり(経済的な面など、親御さんに世話になっている部分は多いのですが)、友人とのつながりが深くなっていきます。
と同時に、仲間割れやいさかいも多くなり、子どもの頃のように「ごめんね」の一言では終わらず、深い溝を残します。
また非行グループと知り合い、繁華街を遊び歩き、学校や勉強をないがしろに思う価値観を植え付けられてしまいます。
ご家庭でできる不登校の高校生へのサポート
不登校の子どもの心のケアには、ご家族のサポートが欠かせません。思春期や反抗期は乗り越えつつあっても、お子さんはまだまだ子どもなので、親御さんの愛をお子さんにしっかり届ける必要があります。
「あんなに大切にしているのに!?」と親御さんは思うかも知れませんが、思春期や反抗期で親御さんとコミュニケーションを取らない期間もあり、お子さんには親御さんの気持ちが届いていない場合が多いのです。
ここでは、不登校になってしまった高校生に親御さんしかできないサポート方法を解説していきます。
学校にいけない子どもの気持ちに寄り添う
お子さんは学校に行かないのではありません。『行きたくても、行けない』のです。ここの気持ちを誤解してとらえてしまうと、お子さんの気持ちに寄り添うことはできません。
「学校に行けない自分はダメだ」「もう将来がない」「この先どうなるんだろう」と不安でいっぱいのお子さんの気持ちを想像してみれば、「どうして学校に行かないの?」とは、とても言えないのではないでしょうか?
子どもの話を共感しながら聞き、気持ちに寄り添った返答をしてあげるようにしましょう。
無理に学校に行かせようとしない
前述しましたが、お子さんは学校に行かないのではなく、『行きたくても、行けない』状態にあります。そのようなときに親御さんに「学校へ行きなさい!」と言われたら、混乱してパニック状態になってしまいます。
ただでさえ不登校になってしまう子は、自信を失い、自己肯定感を下げてしまっているので、できないことを強要されれば、「…自分はなんてダメなんだろう。」と、罪悪感を募らせる一方になってしまいます。
登校のことだけに限りませんが、不登校の子どもに無理強いをするのはやめましょう。
学校に相談する
こういった場合、ご家族だけで解決しようとするご家庭もありますが、それは絶対にやめましょう。お子さんも親御さんも混乱し、「何をしていいのか分からない」状態なのですから、そんなときは第三者の意見が必要になります。
また文科省が「学校嫌い」で欠席している子を不登校と定義しているように、お子さんが学校に行けないのは、学校に何らかの問題があるはずです。ただし、それを追及するのでなく、あくまでも、学校と親御さんとで、「これから子どものために何をしたらいいか?」を相談するスタンスで学校と連絡を取り合いましょう。
学校の先生からは、家とは違うお子さんの姿を聞かせてもらえるので、お子さんの気持ちを理解するきっかけにもなります。
医療機関やスクールカウンセラーに相談する
前述しましたが、不登校の問題をご家庭だけで抱えてはいけません。医療機関やスクールカウンセラーなどと連携すれば、お子さんを支援するためのチームを作ることができ、視野の広い意見を取り入れることが可能になります。
また、不登校の問題解決には、お子さんよりも親御さんがカウンセリングを受けることの方が大切だと言われています。なぜなら、親御さんだって相当なストレスを抱えているのに、お子さんの前では常に冷静でいなければならないからです。
医療機関やスクールカウンセラーには、親御さん自身の悩みや愚痴を聞いてもらうこともできますし、沸き上がってくる不安の波が押し寄せた時、自分ひとりで解決しなくてもいいんだと思えると、ずいぶん楽になります。不登校の問題はご家族だけで抱えず、専門家に頼りましょう。
不登校の高校生が勉強を続けるには?
学校の問題でつまずいてしまったので「学校に行かなくちゃ…」と思い込んでいる子どもや親御さんは多いと思いますが、学校だけが学びの場ではありません。
フリースクールや家庭教師を利用して、お子さんの興味あること、得意なこと等、自分自身で自由に選びながら勉強を続けることは可能です。この機会に、ぜひお子さんの個性にあった学び方を見つけていきましょう。
フリースクールと家庭教師、教育支援センター(適応指導教室)は不登校の子どもの新しい学び方として非常に適しています。この三点を簡単に紹介しておきます。
- フリースクール
- フリースクールは民間の学校で、スクールごとに特色があります。通える範囲のスクールを回って、一番自分にあってそうなスクールを選んでみましょう。学校の校長先生の承認があるスクールであれば、出席日数をカウントしてもらえるので、受験の際、出席日数不足の不安はなくなります。
- 家庭教師
- 家庭教師はマンツーマンで自宅に来てもらえるので、人間関係でトラブルがあったお子さんでも、安心して勉強に集中することができます。また家庭教師は勉強のやり方や学習のスケジュールなども考えてくれるので、自分ひとりで勉強するノウハウを身につけることができます。ただし、マンツーマンだけに先生と気が合わないとストレスが溜まってしまうので、気の合う先生が見つかるまで交代が可能かどうか、契約前にセンターに問い合わせておきましょう。
- 教育支援センター(適応指導教室)
- 学校を長期欠席している小中学生の新しい学びの場所として、教育委員会が運営しています。主に小中学生を受け入れていますが、高校生を受け入れているセンターもあります。通っている学校の校長先生の認可があれば、ここでの活動を出席として認めてもらうこともできます。
不登校の高校生の進路って?
不登校になってしまうと、不安になるのが進学のことです。不登校だからといって何も将来がなくなってしまう訳ではありません。でも進学や就職について知識がないと準備もできませんし、知らないことで不安感から逃れられなくなってしまう場合もあります。
不登校の高校生の進路としては、「大学や短大・専門学校へ進学する」「就職する」のふたつに分かれるのが現実的な進路です。進学率などのデータと共に、紹介していきます。
進学率・就学率
文部科学省は2014年に、2006年に不登校だった子どもの5年後の追跡調査を発表してします。それによると、20歳のときの進学率・就学率は以下のようになっています。
- 就業 34.5%
- 進学 27.8%
- 就学と進学 19.6%
このように、大半の子が進学か就学をしており、不登校であったとしても、みなそれぞれの道へと進んでいる結果となっています。
大学・短大・専門学校などへ進学する
不登校の高校生は、義務教育の中学生と違って、あっという間に留年してしまいがちです。そのため高校を中退してしまうケースも多いのですが、そうした場合でも、「高等学校卒業程度認定試験(旧名:大学認定試験)」を取れば、大学など高校卒業が受験資格の学校に進学することができます。
大学や短大、専門学校に進学したいけど、高校を退学してしまって高校卒業資格がない場合は、高等学校卒業程度認定試験を目指しましょう。
高等学校卒業程度認定試験(旧名:大学認定試験について)
高校認定試験は、通常の高校に通わずに、別の方法で高校卒業資格を取得するための試験です。通信制高校や定時制高校に通うことが難しい場合や、自宅で勉強して高校卒業資格を取得したい場合に選択されることがあり、合格すると、高校卒業資格が得られます。
高校認定試験を受験するには、試験の日が属する年度終わりまでに満16歳以上であることだけです。また試験日は令和5年の例では、8月と11月の2回あります。
※文部科学省の専用ページから概要のパンフレットや出願書類などを取り寄せることができます。
就職
不登校の高校生は就職する場合も多くあります。
就職活動の方法として、学校を退学してしまうと学校から斡旋はしてもらえないので、就職支援機関を利用するとよいでしょう。
- 地域若者サポートステーション
- 通称サポステと呼ばれている、34歳までの人の就職をサポートしてくれる機関です。厚労省委託機関なので、お住まいの地域にも必ずありますから、就職先を探したい場合は相談にいくとよいでしょう。
また、就職に役立つ講座やトレーニングを受けることもできます。
ただし、就学中は利用することができません。 - わかものハローワーク
- 34歳までの人が利用できる就労支援機関で、ハローワークの中にあります(ない場合もあります)。
ここの特徴は、就職支援ナビゲーターがいて、職業相談から提出書類の添削、役立つセミナーの紹介など、きめ細やかに面倒をみてくれることです。
就職先がみつからない、どうやって探したらいいかわからない、不登校が不利益に感じるなどの場合は、ここに相談にいくとよいでしょう。
不登校は将来、不利になる?
文科省の調査によると、「不登校の経験があったことで不当な扱いをうけたことがあるか」の質問に対して、65.8%の人が「まったくなかった」と回答しています。この結果から、不登校でいたことが将来、不利益になる確率は非常に低いと言えます。
ただし、進学するにしろ就職するにしろ、「なぜ自分は不登校になってしまったのか」という自分自身の問題と向き合っていないと、進学先でも就職先でも、再度同じような経験をしてしまう可能性が高いです。
不登校であったことを恥じたり罪悪感を持ったりする必要は全くありません。ですが、その先のよりよい未来へ進むためには、やはり自分の内面の課題をクリアしていく必要があります。いきなりすべて解決しようとするのではなく、自分自身の問題点に気が付き、それを改善しようとする意志をもつようにしましょう。それさえもっていれば必ずよい方向へ向かいますから、安心してください。
高校生のお子さんが不登校になったら
不登校は年々増え続けており、全国で約1割の子どもが不登校状態にあります。誰にとっても決して他人事ではない状態なので、お子さんが不登校になってしまっても決して慌てないよう、親御さんは不登校についての知識だけでも頭に入れておくと、いざという時あわてずに済むでしょう。
高校生が不登校になってしまう原因はそれぞれ違うので、一概には言えませんが、調査結果によると、「無気力・不安」「生活リズムの乱れ」が圧倒的に多く、また環境の変化に適応できない悩みなどがあります。ただし、不登校の原因は子ども自身も分からない場合もあり、言語化できない不安や悩みを抱えている場合が多いです。
不登校は最初のケアがとても大切です。お子さんが「学校に行きたくない」と言っても決して怒らず、親御さんは「学校へ行かなくてもいいよ」と伝えてあげましょう。お子さんの気持ちに寄り添い、話を共感して聞いてあげることが、非常に重要です。お子さんに「自分ひとりじゃないんだ」「親は味方してくれる」と安心感を与えることは、サポートの重要な要です。
また学校以外の居場所や新しい学び場をお子さんと一緒に見つけていけば、「学校だけが学びの場所じゃないんだ」と気づき、気もラクになるので、ぜひお子さんと一緒にフリースクールや家庭教師、特別支援教室などを検討してください。
不登校の高校生の進路は、大学などに進学するか、就職するかのふたつに分かれます。不登校から高校を退学したとしても、高等学校卒業程度認定試験に合格すれば受験も可能です。
また就職する場合も、厚労省の委託機関などがありますから、お住まいのハローワークなどに相談にいきましょう。
不登校の経験があることが将来、不利益になる確率はデータを見ると低いのですが、お子さん自身の内面の問題にはしっかり向き合っていく必要があります。決して焦らず、よい方向に向かおうとする意志を持ちましょう。