不登校特例校はどんな学校?目的や役割、教育内容を解説!
お子さんが不登校になってしまい、『学校以外の学び場』や『新しい居場所』をお探しではありませんか?
不登校の子どもの新しい学びの場所として、不登校特例校があります。
不登校特例校とは、文部科学省HPによると以下のように説明されています。
学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)(不登校児童生徒を対象とする特別の教育課程を編成して教育を実施する学校)※文科省HPより抜粋
つまり、不登校の子どもは、不登校特例校に入学すれば、特別な教育を受けられるということですね。
この記事では、不登校特例校はどんな学校なのか、目的や役割、教育内容、クラス編成の仕方などをわかりやすく解説していきます。
お子さんの新しい選択肢を検討する際に、ぜひ参考にしてください。
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不登校特例校ってどんな場所?
不登校特例校は、平成17年7月に学校教育法施行規則改正で制度化された、不登校になってしまった子どものための学校で、子どもに様々な配慮がされている点が大きな特徴です。
まだ35校しかないので、ご存じない方も多いかも知れません。概要や特徴などを紹介していきますので、お子さんに合うかどうか検討しながら読み進めてください。
不登校特例校とは(文科省の資料を抜粋)
不登校特例校について、文科省HPには以下のような説明がされています。
不登校児童生徒の実態に配慮した特別の教育を実施する必要があると認められる場合、文部科学大臣が学校を指定し、特定の学校において教育課程の基準によらず、特別の教育課程を編成して教育を実施することができます。
不登校特例校は、増え続ける不登校の子どもをサポートできる仕組みを国が用意したということで、学校のような決まったカリキュラムでなくてもいいよ、というのが大きなメリットと言えます。
不登校の中学生の人数と割合(備考として)
文科省は2022年の10月4日に、2022年度の小中学校における不登校児童生徒数は29万9048人との調査結果を発表しました。前年度と比べると5万4108人(22.1%)増えており、過去最多となっています。また、不登校の子どもの数は10年連続で増加しています。
中学生の人数は2022(令和4)年度の調査では全国で約321万人なので、299,048÷321万人は、と0.0931…になります。つまり約一割弱の子どもが不登校だという結果です。
ただし、「欠席日数が30日未満の子ども」はこの人数に含まれていないので、不登校予備軍などの子どもを入れると、潜在的な不登校生の数や割合はもっと多いと言えます。
不登校特例校の目的や役割
この項目は、不登校の問題をなんとかしようと設置された、「不登校に関する調査研究協議会」が調査と検討を重ねた調査結果から抜粋して紹介していきます。
この調査書には、4つの指標があります。
文科省が目指す4つの指標
報告書には以下の4点について、重点的に取り組んでいくべきとあります。
- 誰一人残さない学校を作る
- 不登校傾向にある子どものニーズを把握する
- 不登校の子どもに多様な教育を確保する
- 不登校の子どもに自立を目指した支援(中長期)をする
また報告書によれば、
- 不登校は誰にでも起こりうることなので、問題行動として捉えない
- 子どもの利益を最優先に支援を行う
- 再登校にとらわれない
- 子どもの社会的な自立を目指す
- 休養が必要なことにも配慮する
- 一人ひとりの状況にあった支援をする
以上のことが明確に記されています。
また、このような不登校特例校を増やすことや、フリースクールなど、民間団体との連携促進なども明記されています。
不登校特例校には誰でも入学できるの?
不登校特例校は望めば誰でも入学できるという訳ではなく、条件があります。
文部科学省の資料から、利用対象を説明します。
不登校特例校の利用対象者となる条項
児童生徒について、不登校状態であるか否かは、小学校又は中学校における不登校児童生徒に関する文部科学省の調査で示された年間30日以上の欠席という定義が一つの参考となり得ると考えられるが、その判断は小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校(以下「小学校等」という)又はその管理機関が行うこととし。例えば、断続的な不登校や不登校の傾向が見られる児童生徒も対象となり得るものであること。他方、不登校児童生徒以外の児童生徒については、特別の教育課程の対象にはなり得ないこと。
つまり、
- 年間30日以上の欠席がある
- ときどき欠席するなどの不登校予備軍の子も含まれる
上記2点が入学条件となります。また、その判断は教育機関がしますので、あまり型にとらわれないで、教育機関が「不登校」または「不登校予備軍」と認めれば入学できると明記してあります。
ですから親御さんは、もしお子さんを不登校特例校に通わせたいと思えば、お住まいの教育委員会などに問い合わせ、相談してみるとよいでしょう。
不登校特例校の特徴や教育内容
ここからは、いよいよ不登校特例校は、具体的にどんな学校であるのか、わかりやすく紹介していきます。
不登校特例校の数
不登校特例校は、特区措置を平成17年学校教育法施行規則の改正により全国化したので、当初は数が増えつつあります。
令和6年の時点では35校で、公立校が21校、私立校が14校となっています。
公立校と私立校の費用の違い
不登校特例校には、公立校と私立校があり、一般の学校と同じで、公立は学費が安く、私立は高めで年間100万円以上学費がかかるところもあります。
そう簡単に捻出できる額ではないご家庭もあるので、学校を選ぶ際は費用のことを検討する必要があります。
クラス編成のしかた
不登校特例校では、学習進度や習熟度によってクラス編成されます。ですから、複数の学年が同じクラスで学ぶ形となります。
授業のやり方
授業は、今までの学校のように皆で同じ授業を受けるのではなく、ひとり一人が個別に学習していきます。
そして何かわからないことがあれば、先生に質問できるようになっています。
オンライン学習も可能!
不登校だったのですから、学校に行きたくない子どももいます。そのため、オンラインでの自宅学習が許可されている学校もあります。
授業時間
一般的な中学校の年間の総授業時間は、1015時間です。それに比べ、不登校特例校では、750~770時間程度です。
少なくなった授業時間は、総合的な学習の時間などに使われます。
このように決められていても、前述の「不登校に関する調査研究協議会」の報告書による4つの指標に「不登校の子どもに多様な教育を確保する」とあるように、各学校で多様な教育を実施することができます。
授業内容の例
多様な教育とは、どのようなことなのか、いくつかの学校の例をあげて紹介していきます。※ここに紹介した内容は、学校ごとに特色があるので、不登校特例校を検討する場合は、通える範囲の不登校特例校の授業のやり方や内容をよく確認することが重要になります。
- いろいろタイム
-
一日使って自然や命との触れ合う、芸術に触れるなど様々なことに使う
アウトドア体験・スポーツ交流会・映画鑑賞・校内コンサートなど… - プロジェクト
- 子どもが関心のあることを掘り下げていく時間。活動発表の機会も。
食と農業・パソコン・マンガ・動物など - その他、授業内容の特徴
- このように、不登校特例校は、職業技術科目や、実習、体験型の学習で経験を積み重ねることを重要視しています。経験を積み重ねることで社会性や自立心、活動意欲、学習意欲の向上を目的としているからです。
そのような体験授業での実施を通じて、生徒たちは失ってしまった自信を取り戻していくようです。
先生の数と生徒の数
学校によって違ってきますが、不登校特例校では1クラス30人未満、クラスによっては5人未満のクラスもあります。
この人数に対し、教員の数は一般の学校よりも多くいるので、ひとり一人に手厚いサポートや指導が可能です。
また、先生以外にも、登校支援チーム・心理相談員・スクールサポートスタッフなどがいてくれるので、不登校の子どもでも、学校に行きやすい環境を作ってくれています。
不登校特例校は、公的な卒業証書がもらえる
不登校特例校は、文部科学省が認定する学校なので、高校進学や就職活動に必須となる卒業証書・進路書類を発行できます。
※フリースクールは、個人や団体が運営する学校なので、どのフリースクールでも必要な書類を用意できるとは限りません。
お子さんにあった場所で学びを続けるのが第一とは思いますが、その先の事も見据えた学校選びが大切になります。
不登校特例校を検討してみたい方へ
不登校特例校の特徴は、なんといっても学校が一つのチームとして機能していることです。生徒との接し方、向き合い方に熟知した先生が多く、また、不登校に対しても理解がある先生方が多くいます。
さらに子ども家庭庁と連携し、スクールカウンセラー、ソ-シャルワーカー、養護教諭などが早期支援を行えるような体制をとっているので、親御さんへの支援も可能です。
まだ35校しかありませんが(平成6年5月現在)、通える範囲にあれば、ぜひお子さんの新しい選択肢のひとつとして検討してみる価値はありそうです。