お子さんが不登校だとしても、「高校へ進学しない」という選択肢を選ぶご家庭は、ごく少数です。ほとんどのご家庭で「不登校だけど進学はしないな」とお考えだと思います。

ですが、不登校のまま高校受験を考えると、

「学校に行ってなくても受験できるの？」
「内申点が足りない、どうしよう」
「受験勉強はどうやってやればいいの？」

と、不安な気持ちになってしまうと思います。

そこでこの記事では、このような悩みを持つ中学3年生や親御さんに向けて、不登校でも受験できる高校の選択肢や、受験対策のやり方を詳しく解説します。
受験を乗り越えるためのサポートについても、わかりやすく解説しますので、ぜひ参考にして、高校への進学を目指して頂けたら嬉しいです。

不登校でも受験できる高校の種類と特徴

「不登校だから高校に行けないのでは？」と不安に思う人も多いですが、実は不登校だとしても、進学の選択肢は色々あります。不登校だからこそ、自分に合った環境を慎重に選んで、順調な高校生活を送りたいですよね。
不登校の子でも通いやすい高校の種類と特徴について解説します。

① 全日制高校（一般的な高校進学の選択肢）

全日制高校は、朝から夕方まで授業がある一般的な高校です。不登校の経験があっても、受験を合格すれば入学できます。

ただし、全日制高校は「内申点」や「出席日数」を重視する学校が多いため、不登校期間が長いと不利な場合も多いです。ですから、不登校だけど全日制高校に進学したい場合は、あまり内申点を重視せず、一般受験（学力試験）で合格できる高校を選ぶのがポイントです。

また、単位制の高校なら、出席日数よりも学力テストの結果を重視することが多いので、合格しやすいと言えます。

② 通信制高校（自宅学習が中心の高校）

通信制高校は、自宅でのオンライン学習やレポートが中心なので、自分のペースで学べるのが特徴です。
通学は提出月に1～2回程度でOKという学校もあるので、「人に合うのが怖い」と感じている子には、学習しやすい環境です。

さらに通信制高校は、不登校経験がある子が多く通っているので、「自分は不登校だった」というプレッシャーを感じることなく、安心して勉強できる環境です。
通信制と言っても、卒業後の進路は大学進学も可能なので、選択肢が狭くなるということもありません。

とは言え、自宅学習を進めるには自己管理が必要になるので、今のうちから学習習慣を身につけておく必要があります。ひとりで難しい場合は、通信制高校と連携した学習支援機関のサポート校を利用すれば、学習を継続しやすくなります。そういった目先のことを自分で考え、行動していける子であれば、通信制高校で何も不自由することはありません。

③ 定時制高校・チャレンジスクール（自分に合ったペースで通学できる）

定時制高校は、夜間や午後から授業がある高校です。朝が苦手な子や、昼間は自宅で勉強したい、または働きたい、自分の好きなことに時間を使いたい子に向いています。
全日制よりも授業時間が短いので、学校生活の負担が少なく、無理なく高校生活を続けやすいです。

※チャレンジスクールとは？
チャレンジスクールとは、東京都が設置している「多様な学びを支援する公立高校」のことです。全日制高校とは異なり、『学び直しの機会を提供すること』を目的としたカリキュラムが組まれており、不登校で勉強が遅れてしまった子どもや、中学校で十分に学習できなかった生徒が、自分のペースで学べるよう配慮された環境になっています。どんな子でも学びやすいので、不登校や発達障害でも、自分の好きなこと、伸ばしたい分野を学べます。

特徴
・レポート提出や体験学習など、柔軟な学習スタイル
（一斉授業だけでなく、自分に合った方法で学べる）
・少人数制なので手厚いサポートが受けられる
・専門的な学習プログラムやキャリア教育が充実している
（将来の進路を考えながら学習できる）

④ 高卒認定試験（高校に進学せずに卒業資格を得る方法）

高校受験せず、進学しない場合でも、「高校卒業認定試験（高認）」を受けることで、高校卒業と同等の資格を得ることができます。高卒認定を取得すると、大学や専門学校の受験が可能になります。

「自分のペースで勉強したい」「高校には通わずに資格を取りたい」という子には有益なシステムですが、独学する必要があるので、勉強を続けようとする強い意志力や実行力が必須になります。

【不登校の受験対策】必勝合格に欠かせない受験勉強の3つのポイント

不登校でいると、いざ受験対策しようと思っても、「勉強が遅れてる」「受験までに（勉強が）間に合うか不安」と、すんなり受験勉強に取り掛かれない場合が多いと思います。
でもご安心ください！そんなご家庭のために、不登校の子が受験を乗り越えるために欠かせない、受験勉強の３つのポイントを紹介していきます。
この３つを対策していけば、不登校で勉強が遅れていたとしても、なんとかなります。ぜひ諦めず、受験対策する際の参考にしてください。

①内申点が低い場合の対策

不登校期間があると、学校の成績（内申点）が低くなりがちです。ですが、内申点が低くても受験できる高校はたくさんあるので、腐らないようにしましょう。

対策1. 内申点を重視しない高校を選ぶ
高校によっては、内申点よりも学力試験の点数を重視する学校があります。
例をあげると、以下のような高校です。

• 単位制高校（試験の数が重要）
• 私立（独自の基準で合否高校を決定）
• 通信制高校（学力試験がない場合もある）

一刻も早く進学したい高校の募集要項を確認し、「内申点が合否にどう影響するか」を調べ、無理そうであれば行ける高校を探しましょう。

対策2. 面接や作文でアピールする
一部の高校では、面接や作文が合否の決め手になります。合格のためのポイントを紹介しておきますので、今から準備をしてください。

面接でのポイント
「なぜこの高校を選んだのか」「将来の目標」などを、熱意が伝わるよう話す練習をしておきましょう。

作文のポイント
「不登校になった理由」「これからどう頑張りたいか」を前向きに伝えられるとグッと好印象です。今までの作文の傾向を調べ、書き方やストーリーを練っておくと書きやすく、高評価がもらいやすいです。

②受験勉強のやり方と勉強法の選び方

不登校の期間が長いと、「勉強が遅れてる」ことで、受験勉強も間に合わないんじゃないかと不安になってしまいますよね。
そんな不安があるからこそ、自分に合った受験勉強のやり方を選びましょう！やみくもみ勉強を始めても、無駄な時間と労力を使うだけです。

1.自分ひとりで受験勉強を進める場合（教材や参考書の選び方）
わかりやすい参考書や問題集を選ぶことは必須ですが、勉強したい内容によっても選ぶ参考書は違います。まず、「何に力を入れて勉強したいのか？」を先に決めてください。

• 基礎から復習したい→ 教科書ごとのやさしい参考書（例：「やさしく学べる〇〇」シリーズ）
• 受験の過去問に慣れたい→ 「高校入試の過去問」「赤本」
• これから復習したい→ 「要点まとめ＋問題演習がセット」になったもの（例：「1冊でわかる〇〇」）

まずは得意な科目から始めると、勉強のやる気が続きやすくなります。くれぐれも苦手科目から始めないでください。わからなくて挫折してしまいます。

2. オンライン学習を活用して受験対策する
最近は、不登校の子向けのオンライン学習サービスも充実しています。上手に活用して受験勉強のつまずきを失くしていきましょう。

オンライン学習の種類
• 映像授業（好きな時間に視聴できる）
• オンライン家庭教師（マンツーマンで学べる）
• チャット質問サービス（わからない問題を質問できる）

「一人で勉強が続かない…」という場合は、誰かにサポートしてもらいながら学ぶといいでしょう。そんな場合に決してひとりで頑張ろうとしてはいけません。後で息切れしてしまいます。サポートしてもらいながらの勉強法については、次の項目で詳しく紹介します。

3. 塾・家庭教師を利用する
「家だと勉強に集中できない…」「苦手科目が多い…」という場合は、塾や家庭教師を活用するのも一つの方法です。

• 個別指導塾（自分のペースで学習できる）
• 家庭教師（マンツーマンで教えてもらえる）
• 適応指導教室・フリースクール（学校に行かなくても学習できる場）

学び方にも二種類あります。苦手が多い、勉強が遅れ過ぎている場合は、5科目すべて教えてもらうとよいと思いますが、自分で自己管理ができてやる気がある場合は、特に点を取りたい科目を重点的に学ぶと効率よく勉強できます。

③受験勉強の要！モチベーションを維持するには？（勉強を続けられるようになる３つのコツ）

受験勉強に限らず、勉強は辛いものなので、ほとんどの人が「やる気が続かない…」「何度も挫折してしまう…」という経験があるのではないでしょうか？
受験勉強は長丁場です。そんな場合にやる気やモチベーションを維持する工夫を紹介しておきます。

1.勉強の目標を具体的に決める
「〇〇に合格する！」という目標だけでは、途中でモチベーションが下がってしまう場合が多いです。毎日、「今日の勉強の目標」を決め、達成感を味わえるよう工夫して勉強しましょう。

• 1週間で英単語を50個程度
• 数学の基礎問題を1日3問解く
• 朝10分だけは必ず勉強する（習慣を身につける）

2. 生活リズムを整える
不登校が長いと、昼夜逆転しやすいですよね。でも、受験当日は、けっこう朝早くから試験に挑まなくてはなりません。そのリズムをつかんでおくためにも、規則正しい生活を送ることを心がけてください。生活リズムが整うと、勉強の集中力が上がり、効率よく学習できるようになります。

• 朝は決まった時間に起きる（夜型の生活を改善）
• 勉強の時間を決める（ダラダラせずにメリハリを！）
• 夜更かししすぎない（睡眠不足では集中力がおちる）

3. 親御さんのサポートで子どもの気持ちを安定させる
受験勉強中、子どもの心は勉強の辛さや受験への不安から、とても落ち込みやすい、ナーバスな状態になっています。受験勉強を効率的に進めるには、やはり精神的に安定しているのが一番なので、親御さんのサポートには、とても重要な役割があります。

• 「頑張ってるね！」と声をかける（励ましは大きな力です）
• 勉強環境を整える（静かな場所や休憩中のおやつなど）
• プレッシャーをかけない（子どもが自分のペースで進められるように配慮する）

「〇〇しなさい！」と命令系の言葉は決して言わず、お子さんと一緒に悩み、考えながら受験を進めていけるようにしてください。

受験に役立つ支援制度

不登校の子どもが受験する場合、さまざまな支援制度を活用できます。受験勉強のサポートだけでなく、精神的なケアや金銭的な支援を受けられる場合もあるので、積極的に活用していきましょう。

① 教育相談機関やカウンセリング

不登校の子どもが抱える悩みや不安を相談できる機関があります。進路についてのアドバイスや、受験に向けた学習計画の相談もできるため、活用することで安心して受験準備を進められます。

不登校支援センター
各自治体が運営する相談機関。不登校に関する悩みや進路相談を受け付けています。

スクールカウンセラー
在籍している学校に配置されている専門家。子どもだけでなく、保護者の相談にも対応してくれます。

② 不登校支援NPO・フリースクール

フリースクールや不登校支援を行うNPOでは、受験対策を実施している団体もあります。学校に通えなくても、個別の学習支援を受け、受験準備を進めることが可能です。

フリースクール
学習のサポートだけでなく、生活リズムを整える支援も行っています。

不登校支援NPO
受験対策講座や、個別指導を実施している団体もあります。
※各団体によって支援内容が異なるため、事前に問い合わせをしてください。

③ 助成金・学費支援制度

家庭の経済的な負担を軽減するための支援制度もあります。受験料や学費をサポートしてもらえる可能性があるため、該当する制度がないかチェックしてみましょう。

自治体の補助制度
住んでいる地域によっては、不登校の子どもの学習支援費用を補助する制度があります。

奨学金制度
高校入学後の学費を支援する奨学金制度も活用できます。

これらのサポート制度を上手に活用すれば、経済的に余裕がないとしても、受験に向けて準備が進められるようになります。お住まいの自治体などに相談してみてください。

不登校の高校受験でみんなが不安に思うこと

受験に不安はつきものですが、不安や悩みを抱えていたのでは、受験対策にも影響してしまいます。そこで、みんなが不安に思う、不登校の受験対策についての質問と回答をまとめました。

Q. 不登校だと内申点に影響しますか？

A. はい、影響します。特に公立高校の推薦入試では内申点が重視されます。

ですが、内申点を考慮しない高校も多くあります。私立高校など、受験の点数が合否に大きく影響する高校を選ぶようにしましょう。

Q. 不登校の子が勉強に追いつく方法はありますか？

A. 不登校に限らず、遅れてしまった勉強に追いつくのは意外と簡単です。まずは、わからないところまで戻って勉強しましょう。たとえそれが小学校の時の教科書だとしても、それが一番の近道です。
どんなに勉強が苦手でも、基礎からやり直せば、少しずつ理解できるようになります。

ひとりで勉強する自信がなければ、オンライン学習や家庭教師、個別指導塾を活用して学習するようにしましょう。特に家庭教師なら、勉強のやり方から教えてもらえます（教えてくれないところもあるので、契約時によく確認してください）。

Q. 中3で休んでいい日数は？

A. 一般的には、年間30日以内の欠席であれば、出席率90％以上を維持できるとされています。ただし、学校や自治体によって基準が異なるので、生徒手帳や学校の規定を確認しておいてください。
安易に「これぐらいは大丈夫」と思って休んでしまうと、後で出席日数が足りなくなってしまいます。

また、高校受験への影響を考えると、公立高校の推薦入試では「3年間の出席率」が重視されることが多いです。不登校でも、中3の場合はできるだけ出席日数を確保するようにしてください。

出席日数を確保する方法のひとつとして、学校に通わなくても出席扱いにしてもらえるフリースクールや教育支援センター（適応指導教室）に通うという手段もあります。現在、在籍している学校の先生や校長先生に、一度相談してみてください。

不登校でも受験はできる！自分に合った学校を選んで高校生活を楽しむ未来を選択していこう

不登校だからといって、進学を諦める必要はありません。必要なポイントを押さえれば、不登校でも高校受験を成功させることは十分可能です。

・自分に合った高校を選ぶ。
・内申点が低いなら学力試験重視の高校を選ぶ
・学力試験のための勉強は頑張る
・受験に集中できる環境を整える
　スマホやゲームの時間を決める
　静かに勉強できるスペースを作る
・自分に合った学習方法を見つける
　塾や家庭教師、オンライン教材など
　息抜きの時間も大切にする

また進学する高校を選ぶときは、オープンキャンパスや学校説明会に親子一緒に参加し、実際の様子を見ながら話し合うようにしましょう。「将来どんなことをしたいか」「どんな学校なら無理なく通えそうか」などを一緒に考えながら、納得できる進路を選ばないと、高校でも通えなくなってしまいます。
もちろん、イヤな場所に無理して通う必要はないのですが、できるだけ「嫌な思い」を避けられる学校を選んだ方が、高校生活がより一層楽しくなります。

受験はゴールではなく、新しい環境に向けての新たなスタートです。前向きな気持ちで受験に挑み、お子さんに合った学校で、高校生活を楽しめる未来を選択して欲しいと思います。そうなるよう、心から応援しています！