【大学受験】総合型選抜試験で合格するための方法
「大学受験の総合型選抜って何?」
「普通の推薦入試と、どう違うの?」
「合格するための秘訣があったら教えて欲しい」
こんなことでお悩みではありませんか?
大学受験の総合型選抜は、AO入試と呼ばれている時期もあった、比較的新しい受験体系です。
そのため旧来の推薦入試と比べても様々な違いがあるので、十分注意して試験に臨む必要があります。
そこで今日は、大学受験の総合型選抜について詳しく解説していきます。
これを読むと、総合型選抜試験で受かるための方法がわかるので、ぜひ最後までお読みください。
大学受験の総合型選抜試験(旧AO入試)とは何か?
大学受験の総合型選抜試験とは一体、どう理解すればいいのでしょう?
具体的に説明していくためには、以下2つの項目を知っておく必要があります。
● 推薦入試には2種類あること
● 総合選抜試験は第3の推薦試験であること
この2つの項目を解説することで、総合選抜試験(旧AO入試)について理解できると思いますので、ぜひ参考にしてください。
推薦入試には大まかに分けて2種類ある
推薦入試には大まかに分けて2種類あるのはご存知でしょうか?
具体的には以下のとおりです。
● 学校推薦型
● 公募推薦型
これら2類型は過去から存在している推薦入試なので、多くの受験生、ご家庭がご存知だと思いますが、もう一度簡単に確認しておきましょう。
学校推薦型
よく推薦で合格の確率が高いと言われているのが、学校推薦型の推薦入試です。
なぜなら、指定校推薦などが含まれており、学校であらかじめ決められた人数が入試を受けるためです。
例えば、指定校推薦の枠が5名ほどあり、10人の応募が校内であった場合、学校でまず選考が行われます。
基本的に評定平均による校内選抜となっており、学校の定期テストの点数がより重視される傾向にあります。
指定校推薦で学校の枠に入れれば、面接や論文試験で大きなミスをしない限り、合格率が高くなります。
もちろん不合格になる可能性もありますが、学校推薦型の入試は受けられるお子さんが限定されているので、合格する可能性が高いです。
公募推薦型
推薦入試の中でも比較的難易度が高いのが、公募型の推薦入試です。
なぜなら公募推薦型の入試は、指定校推薦のようにあらかじめ受験できる人数が限定されていないからです。
例えば、国立大学の中でも三重大学法律経済学科の公募推薦型入試を確認してみましょう。
募集要項には学校選抜型と書かれていますが、指定校推薦のように高校ごとに合格する枠が設定されていないので、公募推薦型と判断できるでしょう。
具体的な募集要項としては以下のとおりです。(令和4年度推薦A)
● 英語検定準2級以上を取得している
● 評定平均が概ねA評価である
● 各学校から2名まで
これらの要件を備えていれば、どの学校からでも推薦入試を受けられるので、実質公募推薦であると断言できます。
このような入試形態であると、推薦入試当日の面接評価や試験評価によって合格率が左右されるので、難易度が高くなりがちです。
そのため、名称に騙されず、試験内容や募集要項には必ず目を通しておきましょう。
総合型選抜試験は第3の推薦試験
さて昨今になって新しくできた推薦入試のタイプとして、総合型選抜試験があります。
国立公立大学や有名私立大学などでも導入されており、一般的に学習成績の状況などを提出しなくてもよい、出願条件が緩い入試が多い傾向です。
入試出願条件が緩いといっても、試験内容は多岐に渡り、学校推薦型の入試よりも難しいと判断せざるを得ません。
また2021年度大学入試から評価方法に学力確認を義務付けることが必須になっているので、難しい試験になっていると断言できます。
また旧来AO入試と呼ばれていた時期もあり、大学が重視する能力を持っている学生を優先的に合格させる制度でもあります。
総合型選抜試験の前身である『AO入試がどのようなものだったのか?』については、次の項目でお伝えします。
アドミッションズオフィスポリシーとは
AO(アドミッションズオフィスポリシー)入試は、元々アメリカの大学で一般的に行われていた入試形態であり、学生自身の個性や適正に対して大学が掲げる学生像が合致しているかを確かめられる試験でした。
学校推薦や公募推薦とは大きな差別化が図られており、複数回に渡った面接や面談、面接時に問題を提示されて解答への道筋を証明していくなど試験内容も多岐に渡っていました。
その流れは、総合型選抜型試験に引き継がれており、学力確認が必須化されたことで、難易度も高くなっています。
総合型選抜試験の試験の種類について
総合型選抜試験は様々な試験が用意されており、対策が難しいのが現状です。
具体的な試験内容は以下のようなものがあります。
● 書類審査
● 小論文試験
● 面接
● プレゼンテーション
● グループディスカッション
● セミナー受講
● スクーリング
● レポート提出
例えばスクーリングやセミナー受講を通して、授業を聞き理解した内容をレポートにまとめるといった課題が提示されます。
このような試験形態は対策が難しく、試験内容も変更されやすいので、総合的な学力が試されると言えるでしょう。
総合型選抜試験のスケジュールについて
総合型選抜試験のスケジュールは、9月出願になっている場合が多いです。
ただし、オープンスクールなどに参加しないと出願さえできないといった大学もあるので十分に注意してください。
出願が行われると、大体12月頃までには結果が出て、合否発表が行われます。
1次選考や2次選考などが行われるの、で緊張状態がずっと続く可能性が高いです。
特に選考に残念ながら落ちてしまった場合、大学入学共通テストなどを受験しなければならないので、長期戦になっても変わらず毎日の勉強は行なってください。
総合型選抜の試験対策方法
では実際に、総合型選抜の試験対策方法について詳しく解説していきます。
総合型選抜・対策方法①:試験内容が難しいため総合的な対策は難しい
まず前提条件として、試験内容が難しいため総合的な対策は難しいと考えておきましょう。
なぜなら、一般入試のように学力試験を受けるわけではないので、試験内容も変更しやすいからです。
大学側からしても前年の試験内容が分析され対策されたとしても、総合型選抜試験であれば直前に授業内容を変えるなどして対応が可能なんです。
そのため、基本的に試験対策は行えないと考えておいたほうが無難です。
総合型選抜・対策方法②:事前課題がある場合には、何が聞かれるかをリサーチする
ただ大学側も学生を落とすために試験を作っているわけではないので、事前課題が用意されている場合も多いです。
そのため事前課題が出された場合には、学校の先生などに相談して何が聞かれているのかをはっきりさせておいた方がいいでしょう。
特にレポート課題など何を書いてどういった結論に持っていけばいいのかは、学校の先生や塾の先生と相談しながら書いていくことが望ましいです。
ただし、相談したとしても全てをコピーして書くと面接試験で課題内容を聞かれた際に答えられない可能性があるので、あくまで自分でリサーチすることを意識してください。
総合型選抜・対策方法③:最も有効なのは過去問のリサーチ
前提条件で試験対策は難しいと述べましたが、実際のところどのような傾向で総合型選抜が行われるのかを知ることは可能です。
なぜなら、過去問を見て共通した課題などを発見できるからです。
大学の中には、過去問を見ても傾向をつかめないところもあると思います。
だからと言って過去問と傾向が似た試験が、今後一切出てこないということはありません。
そのため、総合型選抜試験の過去問が学校などに保管されているのであれば、10年間分程度を見ておくと参考になるでしょう。
総合型選抜試験の合格率を確認してみると?
では続いて総合型選抜試験の合格率を確認してみましょう。
結論から言うと、『総合型選抜試験の合格率はかなり低い』と考えておいて良いでしょう。
● 国公立大学
● 私立大学
この2種類に分けて説明していきます。
合格率の確認①:国公立大学は合格率が低め
国公立大学の総合型選抜試験の合格率は、だいたい30%程度と考えられます。
中には20%以下になっている大学も存在しているため、合格率は低いと考えてよいでしょう。
この理由としては、総合型選抜試験は学校推薦型というよりも、公募推薦型の入試であり、学校ごとの合格者枠が用意されていないからです。
そのため特に国公立大学は試験が難しいこともあり、合格率は低いと考えられます。
合格率の確認②: 私立大学も有名大学は軒並み合格率が低め
私立大学の有名大学は、軒並み合格率が低めです。
具体的に言うと、早稲田の法学部は合格率がなんと、5%程度しかありません。
また慶應義塾大学は21%程度となっており、倍率が高めになっていますよ。
試験内容が難しく時の運にも左右されるので、あくまで有名私立大学を目指すためには、一般入試と併願して受けることを前提に考えておきましょう。
大学受験で総合型選抜を受けるメリット
続いて大学受験で総合型選抜試験を受けるメリットについて、詳しく解説していきます。
具体的なメリットは以下のとおりです。
● 学力面だけで評価されない
● 徐々に総合型選抜の数が増えてきているから、主流になりつつある
● 評定平均も見られるから、これまでのプロセスが大事
より具体的に解説していきます。
総合型選抜のメリット①:学力面だけで評価されない
総合型選抜試験は募集要項に、学力面があまり重視されない傾向にあります。
なぜなら大学側が、試験の一般的な学力だけで選抜する方法から転換をはかっているからです。
そもそもAO入試の頃から学力をあまり見ない傾向があるので、今後もこの傾向が続いていくと考えられます。
ただし完全に学力を無視して募集する大学はほとんどないので、後ほど詳しく解説しますが評定平均には注意してください。
総合型選抜のメリット②:徐々に数が増えてきているから、主流になりつつある
ちなみに国公立大学及び私立大学にて、総合型選抜試験と推薦入試の比率は徐々に上がってきています。
なぜなら、この傾向には国の政策が絡んでいて、大学が予定している入学予定人数よりも多くの学生を、一般入試で選抜する方法が使えなくなっているからです。
一般的に歩留まり率などと呼ばれていますが、大学の入学定員よりも多くの学生を選抜しすぎると、補助金が減らされてしまうんです。
このような背景があるため、私立大学を中心に推薦入試であらかじめ入学定員を固めておき、一般入試での選抜割合を低くするといった施策が行われています。
一般入試での選抜割合が低くなってしまった結果、難易度が急激に上がっている大学もあるため、十分注意してください。
総合型選抜のメリット③:評定平均も見られるから、これまでのプロセスが大事
総合型選抜試験であっても、評定平均は必ず見られると考えておいた方がいいです。
なぜなら、募集要項に書かれていなかったとしても、調査書を提出する段階で必ず評定平均を見られるからです。
評定平均を見られるということは、面接などで数値化して評価される可能性が高く、面接で言っていることと今までの行動に矛盾が生じていないかも見定められます。
そのため高校1年生の段階から評定平均に気を配り、定期テストでの点数アップを目指した方が総合型選抜試験でも優秀な成績を収められるでしょう。
評定平均とは
ちなみに評定平均とは、高校1年生から高校3年生1学期に至るまでの通知表を点数化して5段階評価をつけた値です。
有名な私立大学や国公立大学では推薦入試にこの平均値が4.3以上あることが求められる可能性が高いです。
ただし総合型選抜試験では、募集要項に評定平均の値が記載される可能性が少なく、試験自体を受験することは可能です。
評定平均は高1から算出される
さて高校生で一番気を付けなければいけないのは、評定平均が高校1年生からの成績で見られるといった点です。
なぜなら中学校まではある一定の期間だけの内申点が見られており、中学校1年生の成績を見られるという都道府県は、ほとんどありません。
具体例を挙げると、三重県の公立入試では中学校3年生の1学期から2学期までの成績が見られる傾向が高く、中学校1年生の内申点はほとんど必要ありません。
もちろん都道府県によってこの傾向は変わりますが、高校生の評定平均は全国一律だと考えておきましょう。
そのため、高校入学後1回目のテストから、お子さんは大学入試のために必要な成績がつけられると考えてください。
大学受験の総合型選抜に受かる人の特徴
では続いて『大学受験の総合型選抜に受かる人の特徴』について解説していきます。
具体的な特徴としては5点あり、以下のとおりです。
● 資格や検定などを複数持っている
● 評定平均が優れている
● 課外活動を積極的に行っている
● 面接や討論に慣れている
● 一芸に秀でている
より具体的に解説していきますが、大前提として2021年度入試より調査書に記載される内容が拡充されている点は覚えておきましょう。
受かる人の特徴①:資格や検定などを複数持っている
まず資格や検定などを複数持っているお子さんは、総合型選抜試験に受かりやすいと考えても良いでしょう。
なぜなら、資格や検定試験での勉強が、面接試験で問われやすいからです。
特に日商簿記2級やビジネス法務検定など、一般的に高校生で取得するのが難しいと考えられる資格であればあるほど、効果が高いと考えられます。
ただし、高校の勉強をおろそかにしてまで資格を取っていることが調査書でばれてしまえば意味がないので、あくまで高校での学力も高める必要があります。
受かる人の特徴②:評定平均が優れている
続いて先ほど『高校での学力を高めておく必要がある』と言ったことと関連しますが、評定平均が突出して優れているお子さんも、総合型選抜に合格しやすいと考えられます。
なぜなら、当然評定平均は評価項目として、ほとんどの推薦入試で取り扱われているからです。
仮に総合型選抜試験で扱われなかったとしても、その他の推薦入試では有利に働くため、高校1年生の段階からきちんと定期テストで高得点を維持しておきましょう。
受かる人の特徴③:課外活動を積極的に行っている
また調査書の内容には、課外活動実績も記載できます。
そのため課外活動を積極的に行っているお子さんは、総合型選抜試験に合格しやすいと考えられます。
課外活動に関しては様々なボランティア活動が存在しており、あしなが育英会の募金活動や海岸清掃など、様々な活動を精力的に行っておきましょう。
ちなみにアメリカの大学ではボランティア活動時間が募集要項に入っている場合もあり、今後日本の大学入試がアメリカ型の大学入試に近くなっていくと、評価の比重が高まると考えられます。
受かる人の特徴④:面接や討論に慣れている
総合型選抜試験では、面接や討論に慣れているお子さんであれば、高い評価を受けられる可能性があります。
なぜなら、総合型選抜試験のみならず推薦入試ではほとんどの場合、面接や討論といった課題が課されるからです。
基本的にこの能力は高校の授業だけでは身につかないので、積極的に課外活動によって高めていく必要があります。
受かる人の特徴⑤:一芸に秀でている
最後に総合型選抜試験はAO入試の流れを汲んでいるため、一芸に秀でているお子さんは合格しやすいと考えられます。
具体事例でいうと、ある大学の数学科に進みたいのであれば、数学の問題が大学レベルで解けるといったお子さんは合格しやすいです。
このように一芸に秀でていれば、評定平均の値が低かったとしても、面接試験や討論試験で他を上回る評価をもらえるため、合格しやすいと考えられます。
総合型選抜に合格したら、『やること』
最後の項目では、総合型選抜試験に合格したら、『やること』について詳しく解説していきます。
合格したらやること①:入学前教育は必ず受ける
まず総合型選抜試験や推薦入試に合格した場合、入学前教育が必須事項になっている場合が多いです。
なぜなら、大学入試共通テストなどの試験を受験していない学生が多いからなんです。
もちろん大学入試共通テストの知識が全て大学の授業で必要とされませんが、少なくとも英語の勉強は大学を卒業するために必要です。
そのため入学前教育は必ず真面目に受けて、入学後に基礎学力の不足を理由に留年することは避けましょう。
合格したらやること②:大学入学共通テストまで勉強を必ず続ける
また先ほどの項目をより深堀りすると、大学入学共通テストまで高校分野に関する勉強は行なっておくべきです。
なぜなら、大学入学後の英語の試験などに対応できるようにするためです。
さらに公務員試験などを考えている人は、高校の勉強がそのまま出題されるため、必ず大学入学まで勉強を続けてください。
合格したらやること③:検定や資格など大学入学前にできるだけ取得しておく
大学入学前までの勉強期間に、検定や資格試験などの勉強も合わせて行なっておくと良いです。
なぜなら、大学1年生の勉強が始まると忙しくて、その他の勉強が手につかないからです。
そのため大学入学が決定した段階で、お子さんが将来役に立つであろうと考える資格や検定試験勉強を行っておきましょう。
大学受験での総合選抜は早めの準備が大切!
推薦入試全般に言えることですが、基本的に総合選抜でも早めの準備を絶対に行ってください。
なぜなら、評定平均に代表されるように、1か月前からの勉強で対応できる内容が少ないからです。
特に最近の大学入試は、高大接続を意識した入試体系となっているので、入学後からスタートダッシュするのが重要です。
最後まで気を抜かず頑張れば、より大学生活を楽しめます。それを糧にお子さんが息切れしないよう、親御さんは上手にお子さんの気力をコントロールしてあげてくださいね。