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子どもが集団行動できない理由とできるようになる方法

「うちの子、ぜんぜん集団で行動できなくて」
「集団行動ができないって発達障害なの?」
「どうしたら、できるようになるの?」

こんなことでお悩みではありませんか?

集団行動できないと学校では叱られてしまいますし、評価も下がってしまうので、親御さんとしてはハラハラしてしまいますよね。

また子どもが集団行動できないと、学習障害や発達障害などを心配する親御さんも多いと思います。

もちろん、これらの疾患が集団行動に及ぼす影響は大きいのですが、必ずしもこれらだけが問題ではない場合があります。

そこで今日は、子どもが集団行動できない理由や、集団行動できるようにする方法を解説していきます。



集団行動が苦手・できない子どもがいる理由

集団行動が苦手・できない子どもがいる理由は、大別して次の2つの理由があります。

● 疾患を抱えている可能性がある
● 集団行動に向けた発達年齢にまで達していない

これらの理由を深掘りしながら、子どもの集団行動について理解を深めていきましょう。



疾患を抱えている可能性がある

小学生になってからも集団行動が苦手な場合には、疾患を抱えている可能性があります。

具体的な疾患の名称としては、次のとおりです。

● ASD
● ADHD
● ID
● LD
● 愛着障害

発達障害といわれるものから学習障害といわれるものまで、さまざまな要因が集団行動と結びついています。

ですから、「集団行動」ができないといった1つの事象を切り取っても、背景にある疾患にまで目を配る必要がある点に注意が必要です。

また、これらの疾患がなくても、次のような子どもの特性によって、集団行動に苦手意識がある可能性があります。

● 内向的
● 引っ込み思案
● 大人しい
● 自己中心的
● 目立ちたがり屋

ただ、これらの特徴は特別な支援は必要なく、記事後半に紹介する対策を行っていけば自然に集団行動ができるようになるので、あまり心配する必要はありません。



集団行動に向けた発達年齢までに達していない

ちなみに、集団行動は2歳から3歳くらいまではまだ無理で、6歳くらいからできるようになります。

ですから、子どもの年齢を見て、5歳児以下なのに集団行動ができるようになると期待するのは止めておきましょう。

6歳くらいまでは、集団行動であってもミスがありますし、広い心でミスを許容することが大切です。

というのも、ミスを怒るといった行動を親御さんがしてしまうと、集団行動に自信が持てず、より一層できなくなることも多々あるからです。

もちろん集団行動ができる発達年齢まで待つのも大切ですが、個人の成長度合いによっても集団行動ができる、できないは変わってくるので、決して怒ることがないようにしてください。



0歳から3歳までは集団行動自体が難しい

先ほど、集団行動を行うにはある程度の発達年齢が必要であることをお伝えしましたが、ここからは年齢別に、集団行動の分野でどのような発達段階があるかを解説していきます。

たとえば、0歳から3歳までは、身体機能が発達している段階で、ようやく走ったり、踊ったりできるようになっている段階です。

まだまだ言葉足らずで、コミュニケーションに難があるため、周りの子どもと衝突することもあるでしょう。

そのため、集団行動はほとんど無理に近く、先生の真似をして似せるのがやっとの段階です。

また、3歳くらいからやっとコミュニケーションが取れるようになり、相手の反応を見て反応を返せるようになります。



4歳から5歳で友達と遊べるようになる

3歳でコミュニケーションがやっと取れるようになり、4歳くらいから5歳くらいで徐々に友達と意思疎通をして遊べるようになります。

まだまだ自我が強いですが、少しずつ自制心も芽生えてくる頃で、許したり譲ってあげたりなどのコミュニケーションが取れます。

とはいえ、集団で意思疎通しながら行動するのは、まだまだ苦手で、自己中心的な振る舞いも多い年頃です。

それに、周りの友達も自我の発達があるので、ケンカや競争も起き、悔しいや悲しいといった喜怒哀楽の感情も芽生えてきます。



6歳くらいから社会性が育つ

集団的な行動ができるようになるのは、6歳くらいです。

というのも、幼稚園や保育園といったみんなが集まる場所で、長時間の集団生活を行うことで、社会性や協調性といった特性が養われるからです。

もちろん、まだまだわんぱく盛りではありますが、急激に大人びてくる年齢でもあります。

年長さんとなり、下級生の面倒を見たり、運動会やイベントなどで主役になったりと、さまざまな場面で集団行動が求められるようになっていきます。

とはいえ、まだまだ言葉を理解して協調することが難しいこともあるので、本格的に苦手な子どもかどうかを判断するには、7歳か8歳くらいまでは待ったほうがいいでしょう。



集団行動できない子どもの特徴

ここまで発達段階別のできること、できないことをお伝えしてきましたが、小学校以降になっても、集団行動ができない子どもの特徴には、どういったものがあるのでしょうか?

具体的には次のとおりです。

● 集団行動に必要な能力を獲得できていない
● そもそも集団に慣れていない
● 自分の行動に自信が持てない
● マイペースで周りに流されない
● 人と接するのが苦手
● 1つの物事に集中しがち
● 年齢があがったら精神疾患にも目を向ける

それぞれの特徴を詳しく伝えていきます。



集団行動に必要な能力を獲得できていない

集団行動できない子どもの特徴1つ目は、必要な能力を獲得できていない場合があります。

たとえば、社会性や協調性といった能力が必要なもので、これにはさまざまな背景があります。

● 病気で保育園や幼稚園に入れなかった
● 発達障害や学習障害があるといわれた
● 集団行動の訓練をいままで受けていなかった
● 転勤などで一人で過ごすことが多かった

もし集団行動に必要な能力を獲得できていない背景に、これらの要因があれば、1つずつ地道に対策をしていくしかありません。

それには学校の先生の力や親御さんの力といった外部の力も必要です。

社会性や協調性は一人で獲得できるものではなく、社会生活を営んでいく上で自然に獲得できるものなので、能力がないからといって叱ったり、怒ったりするのは絶対にやめてください。



そもそも集団に慣れていない

また、一人っ子や転勤が多かったご家庭の子どもは、そもそも集団に慣れていない場合もあります。

先ほどお伝えしたように、社会性や協調性といった集団行動に必要な能力は、体験によってしか得られないものなので、集団行動の体験をできていなかった場合には集団行動が苦手になるでしょう。

ただ、学習障害や発達障害といった特性を抱えていない限り、小中学校の集団行動を体験することで徐々にできるようになるでしょう。



自分の行動に自信が持てない

また自分の行動に自信を持てていない子どもも、集団行動ができない場合があります。

というのも、集団行動中はある一定の指示だけを受けて自ら判断して行動するため、本当にあっているか心配になってしまうんです。

心配は緊張を生み、緊張は筋肉の硬直を発生させてしまうので、思ったように動けなくなるといった弊害もあります。



マイペースで周りに流されない

集団行動ができない子どもの特徴の1つに、マイペースで周りに流されない特性もあります。

この特性にはメリット・デメリットがあり次のとおりです。

● メリット:確固たる自己があり自分自身で判断できる
● デメリット:周りから浮いてしまい疎外感がでる

このように、マイペースなことは必ずしもダメな特性・個性ではありません。

しかし、集団行動を乱すと、周りの子どもに迷惑をかけてしまうので、次のような声かけをしてあげる必要があります。

「自分一人で行動するときはマイペースでもいいけど、友達と行動するときはあわせようね」

このように子どもの特性や個性を大切にしながら、周りとの協調も大切であることを伝えていきましょう。



人と接するのが苦手

引っ込み思案で人と接するのが苦手な子も、集団行動が苦手な場合があります。

というのも、わからないことや疑問に思っていることを素直に聞けず、わからないまま集団行動してしまうからです。

もちろん、これでうまく行くこともありますが、学年があがると徐々に集団行動も高度化していきます。

すると、わからないまま集団行動を行っているので、いつしかミスが多発するようになります。



ひとつの物事に集中しがち

マイペースな子どもと同様、ひとつの物事に意識を集中しがちな子どもも、集団行動が苦手です。

集団行動はある種のマルチタスクが求められるため、ひとつの行動に集中してしまうと、いつしか集団と違った行動を行っている場合があります。

このような子どもは集中力が高いといったメリットも持ち合わせているので、先ほどお伝えしたように、個性や特性を失わずに、うまく集団行動の時と個人で行動する時をわけて考えられるようにしましょう。



年齢があがると精神疾患にも目を向ける

学校での集団行動を繰り返し、今までなんの問題もなかったのに、集団行動が途端にできなくなったという場合には、精神疾患がある恐れがあります。

なぜなら、集団行動は体験をベースに行うので、今までの経験値があり問題なく集団行動ができていたのに、突然できなくなるのはあり得ないからです。

たとえば、集団登校や修学旅行での集団移動などが突然できなくなるのは、疾患以外に考えにくいと言われています。

そのため、このような症状が出た場合には、必ず心療内科を受診して、どういった対策があるかを確認するとともに、治療を優先してください。



集団行動が苦手で、病気を疑う場合には?

子どもが本人の持つ特性以外で集団行動ができないのであれば、病院を受診したときには発達障害の診断を受けるようにしてください。

発達障害と診断されるのは嫌だと感じる親御さんもいらっしゃるかもしれませんが、今やADHDと診断される割合は10人に1人と言われるほどです。

もし、大人になってからADHDやASDといった発達障害と発覚し、そこから対策をするよりも、問題になりにくい幼少時から対策をしたほうが、その後の人生に負担を抱える割合は少なくなります。

ただ、集団行動が苦手なのに発達障害ではない場合には、学習障害や愛着障害を疑ってください。

これらの特徴を次の項目ではお伝えします。

集団行動ができない子どもが疑うべき病気とは?

集団行動ができない子どもの中でも、その子の特性以外に疑うべき病気や障害があります。
具体的には次のとおりです。

● ASD
● ADHD
● ID
● LD
● 愛着障害

これらの疾患は、発見が遅れると生きにくさを感じてしまう要因となるので、必ず特徴を確認し、疑わしい場合には専門家の判断を仰ぎましょう。



ASD

ASDとは自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群といわれる疾患です。

コミュニケーションが苦手で、興味関心が偏ってしまうといった特性があります。

親御さんの育て方に問題はありませんが、集団行動にストレスを感じてしまったり、聞きたいことを聞けなかったり、集団行動に不利な特性をあわせもっています。



ADHD

ADHDとは、注意欠如・多動性障害といわれる疾患で、現在この疾患と診断される人は10人に1人といわれるほど、世間に認知されています。

ASDと同様にマルチタスクが苦手で、衝動から我慢できずに集団の和を乱すといった、集団行動における負の特性がある点にも注意しましょう。



ID

IDは知的能力障害であり、情報収集能力や情報処理能力に難があります。

とくに周りの行動を見て真似をしたり、先生の言うことを理解したりすることに難しさを感じるので、集団行動が苦手です。



LD

LDは学習障害全般を指す言葉です。

学習障害には次のような種類にわかれ、指示が理解しにくい学習障害だと集団行動が苦手になります。

● 読字障害
● 書字障害
● 算数障害

これら3つはわかれており、LDとADHDが合併することもあります。

しかも局所的な学習障害もあり、算数に問題はないけれど、指示をうまく理解できないといったようなこともあります。

そのため、発見が遅れてしまうこともあるので、親御さんはお子さんの行動をよく観察してあげてください。

仮に学習障害が疑わしいとなっても、さまざまなテストを行わないと発見できない障害です。



愛着障害

愛着障害とは、親御さんからの愛情を十分に受けていないために、情緒や対人コミュニケーションに難が生じる疾患です。

指示や言葉の解釈が偏ってしまい、攻撃的に反応してしまうために、集団に馴染めないといった問題があります。

その他にも、自ら考え行動する能力が著しく低く、目立つために集団行動を逸脱してしまうといった特性があり、全般的に集団行動が苦手です。

ここまで紹介してきた疾患の特徴に当てはまる場合には、ご家庭で協力し、専門家の診察を受けて対策を行っていきましょう。

また専門家まかせにせず、親御さんも書籍やネットで知識を持ち、同じような悩みを持つ親御さんを見つけ、アドバイスを受けるようにしましょう。

ひとりで悩んでいるうちは悩みは深刻ですが、似たような悩みを持つ親御さんとネット上で話してみると、「なぁんだ!」と思うような、よくあることなのかも知れません。


集団行動できない子どもへの対処法

ここまで集団行動ができない疾患や障害について解説してきましたが、単に集団行動ができないだけであれば、どのような対処法があるのでしょうか?

具体的には次の4つです。

● 発達年齢までまずは待つ
● 保護者が指示を出し理解できているかを確認する
● 理解できていないことは先生に質問できるようにする
● 叱るのではなく「しない」理由を聞く

順番に解説していきます。



発達年齢までまずは待つ

まず、集団行動ができないといっても、冒頭にお伝えしたように、子どもには発達年齢というものがあります。

発達年齢によって、できることとできないことがあり、社会性や協調性が身についていくのは5歳から6歳頃といわれています。

もちろん個人によって差があるものですし、この年齢になったから集団行動ができると一括にはできません。

そのため、集団行動が本当にできないのかどうかは、だいたい小学校低学年頃までは様子を見てみるべきでしょう。



保護者が指示を出し理解できているかを確認する

仮に小学校低学年まで集団行動ができないとなった場合には、まず親御さんが指示を出して理解できているかどうかを確認する必要があります。

一例として、次のような簡単な指示を出してみてください。

● 〇〇の周りを歩いて
● 〇〇で待っていて
● 〇〇して

このように簡単な指示からスタートし、徐々に複雑な指示に変えていきます。

学校で行う集団行動と似た内容もできるようであれば、発達障害や学習障害、愛着障害を疑わなくても大丈夫なので、次のステップに移っていきましょう。

ただ、ここで簡単な指示が理解できない場合には、2度か3度日にちをおいて試してみて、それでもダメなら一度、先ほど紹介した障害を疑ってみるといいでしょう。



理解できないことは先生に質問できるようにする

親御さんからの指示にはきちんと従えている場合には、先生の指示がわかりにくい場合もあります。

そんなときには、わからないところは聞くといったルールを作って、先生に保護者面談などで伝えてください。

すると、先生の言い方が変わる可能性が高いですし、子どもが質問しやすい雰囲気作りをしてくれる可能性が高いです。

理解できないことは聞くことを徹底すると、学習での効果も期待できるので、特におすすめです。



叱るのではなく「しない」理由を聞く

学校での集団行動ができないからといって、叱ったり怒ったりすることは絶対にやめてください。

というのも、集団行動は周りにあわせる必要があり、多くの子どもは「なぜ自分はできないのか?」と自己嫌悪に陥っている可能性があるからです。

それよりも、なぜ集団行動をしないのか、と詰問にならないように質問し、原因を特定することが先決です。



目立ちたい場合やマイペースの場合には周りにあわせるように言い聞かせる

仮に目立ちたいやマイペースに行動したいと子どもが言った場合には、周りにあわせるように言い聞かせます。

というのも、前にも伝えましたが集団行動を乱すと、他の子どもに迷惑がかかってしまうからです。

そのときには、友達の名前をあげて、「〇〇さんが困ってしまうよ」と、集団行動をする理由を伝えてあげれば、行動を改善してくれるはずです。



指示が理解できない場合には、どこまで理解できているのかを確認する

次に「先生の話がわからない」といった場合には、単純に話を聞いていないだけなのか、先生の指示が悪いのかを確認する意味で、どこまで理解できているのかを聞きましょう。

たとえば、「先生にはなんて言われたの?」と質問し、先生が言ったことを暗誦させ、「それは、どういう意味か教えて?」と、言い換えて表現させるようにしてください。

先生が言ったことを暗誦させた時点で、まずは先生の指示が的確かどうかがわかりますし、暗誦できなければ話を聞いていない可能性があります。

暗誦はできるのに、言い換え表現ができなかった場合には、そもそも語彙が足りていないので、親御さんからわかえいやすい言葉で伝えるようにしましょう。



不安が強い場合には保護者と予行演習をする

また、何をすればいいかはわかっているけど、失敗が怖くてできないといった子どももいます。

この状況は、親御さんとの予行演習がぴったりです。

やはり集団行動には体験が必要なので、繰り返し行って自信をつけさせると効果的です。



子どもが集団行動できなくても焦らない!気長に待ちながら、フォローしてあげるようにしよう

子どもが集団行動ができないと、親御さんは不安に思ってしまうものですが、背景にはいろいろな問題があり、一括りに「これが問題です」と断定はできません。

ですから焦ることなく発達段階を待ち、小学校低学年くらいまではお子さんの様子をよく観察してあげ、気が付いたことあれば親御さんがフォローしてあげるようにしましょう。

また叱ったからと言ってできるようになる訳ではないので、決して叱らず、「なぜできないのか?」「なにが原因か?」を親御さんが見つけてあげるようにしてくだい。

私たちのサイトでは、この他にも様々なお子さんの学習や学校生活に役立つ情報を取り扱っているので、興味がある方はぜひ読んでみてくださいね。

この記事を書いた人

齋藤 義晃 / 勉強プランナー

メッセージ:
不良でビリから2番目、偏差値30台。そこから独自で確立した勉強法で早稲田大学に合格。この経験を活かし、家庭教師として53人の生徒を第一志望校に合格に導き、在学中に「家庭教師のゴーイング」を設立。勉強が苦手な子専門として実績29年。今でも現場の中心に立ち17,000人以上の相談を解決。心理カウンセラーの資格を取得し、不登校・発達障害の生徒さんへのサポートにも力を入れています。

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