どうして叱られることばかりするの!? ADHDの子への叱り方の対処法
「ダメって言ったでしょ!?」
「毎日叱ってばっかり…」
「叱ってばかりもよくないけど、でも…」
こんなことでお悩みではありませんか?
ADHDの子は多動や衝動性などの特性から、大人からみると突拍子もないことを突然するので、つい「やめなさい!」と大きな声を出して叱ってしまうことがあります。
でも、ちょっと待ってください。
「なぜ叱られているのか?」「本当に叱るようなことなのか?」など、叱る方も叱られる方も、起きてしまった出来事を理解し、話し合えるようなケースは、ほとんどないのではないでしょうか?
嫌な思いをしてまで叱っているのに、それが有効な時間や話し合いにならないと意味がないですよね。
そこで今日は、ADHDの子への叱り方の対処法を解説していきます。
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ADHDの子の3つの特性
ADHD(注意欠陥多動性障害)を持つ子どもを叱るには、子どもがなぜそのような行動に出たのか、理解しておく必要があります。
そこでまずは、ADHDの子どもの代表的な3つの特性を紹介していきます。
多動性
ADHDの子の特性として代表的なものは、多動性です。
「多動性」は座っていることが難しく、体を動かしたり手で物を触ったりすることが多いことを指します。
子どもが親の注意を引くために、わざと動くような場合もあります。
また、ADHDには思考の衝動性があり、物事がぽんぽんと思い浮かんでしまうことも含まれる点に注意が必要です。
思考の衝動性が出てしまうと、お子さんの頭の中でたくさんのことが同時に思考されてしまうので、疲れの原因にもなるでしょう。
衝動性
衝動性と聞くと、突然動き出してしまう子どもをイメージすると思います。
なぜ突然行動してしまうのかというと、先に計画も立てず、何も考えていない行動様式が癖になってしまっている場合がほとんどです。
行動できるのは素晴らしいことですが、計画を立てないので失敗する場合も多く、冷静な判断力を養う必要があります。
不注意
不注意とは、物事に十分に注意を払えないことを指します。
衝動性と同じで、計画を立てられないことで、不注意な事例が頻発してしまいます。
環境の整理や目標の分割などを親御さんが手伝うことで、少しずつ集中できるようにトレーニングしていくと、成長するにしたがって改善できるでしょう。
ADHDのお子さんの多動、衝動性、不注意はよく理解しているつもりでも、突然の出来事だと、親御さんも心構えできない場合もありますよね。
ですが、本人の意志で行っているのではなく、特性でそうなってしまっているので、叱ると話し合いは常にワンセット行うようにすると、イヤな時間が無駄にならなくて済みます。
次の項目では、叱る場合の原則を紹介しますので、少しでも叱るという行為が無駄にならないよう、頭に入れておいてください。
ADHDの子への叱り方の原則
叱るという行為はとても難しく、下手をすると子どもが心を閉ざし「大人なんか信用できない」と話しをしてくれなくなってしまうこともあります。
ですが「叱っているのは愛ゆえ」という気持ちが伝われば、叱られたあとの子どもは、より親御さんを信用するようになります。
このように、『叱る』ことは大変デリケートな行為なので、今のうちにNG行為などを知識として覚えておきましょう。
具体的なNG行為は次のとおりです。
- 大きな声を出さない
- 怒りの感情で叱らない
- 次からこうしようはひとつずつにする
大きな声を出さない
大声で怒鳴ると、子どものストレスを増加させ、状況を悪化させる可能性があります。
ストレスが増加するとふさぎこみがちになってしまう点にも注意してください。
また、子どもが余計に興奮しやすくなり、その後の話し合いは不可能な状態になってしまいます。
叱るという行為は、「怒る」のではなく、穏やかで理解のある声でコミュニケーションをとることが非常に重要になります。
怒りの感情で叱らない
叱るという行為は、親の感情や、ましてやストレスのはけ口ではありません。
親の怒りの反応は子どもを不安にさせ、効果的なコミュニケーションを難しくするので、冷静かつ温和な態度で接することが重要です。
仮に叱っているつもりでも、子どもからは怒っていると判断されると逆効果です。
親御さんは冷静さを保ち、問題を共に解決する姿勢を示すことを大切にしてください。
「次からこうしよう」はひとつずつにする
お子さんを叱った後は、必ず「ではどうしたらいいのか?」という今後の展望を親子で話し合う必要があります。
その際、ADHDの子に複数の指示を同時に出すと、子どもは混乱してしまいます。
指導や要求を何個も同時に出すのではなく、一度にひとつずつ伝え、約束することが効果的なやり方です。
また、次からこうしようと決めた約束事が親子で守れているかは必ずチェックしてください。
チェック→反省→チェックという行動を続けていけば、少しずつではありますが子どもの態度も変わってきます。
ADHDの子どもの叱り方の具体例
いくら知識があったとしても、お子さんの突然の行為に驚いて大声を出してしまう場合もあるかと思います。
少しでも怒鳴ることが無くなるよう、お子さんがよくやってしまう行為と、そんな場合の叱り方の具体例を紹介しておきます。
具体的な叱り方の文言を、良い例と悪い例に分けて解説します。
宿題をやらない
宿題をしていない子どもを見ると、つい怒ってしまいたくなる気持ちもありますが、感情的になることはいけません。
以下に、悪い例と良い例を記載したので確認してみてください。
悪い例: “どうして宿題をやってないの!今まで何をしてたの!?”
良い例: “毎日、宿題をやる時間を決めておこうよ。スケジュールを立てておこうね。手伝えることがあれば言ってね。”
掃除しない
親御さんから「掃除をしておいてよ」と伝えられた際に、子どもがしていなかったシチュエーションです。
お願いしていたこと、つまり期待していたことがなされていないという状態です。
このような状態になると、親御さんも怒りたくなってしまうのも仕方ありません。
ただ、悪い例と良い例を確認しておきましょう。
悪い例: “どうしてこんなに散らかすの!早く片付けなさい!”
良い例: “部屋の片付け、お母さんも手伝うから一緒にやろうよ。ちょっとずつやっていこうね。”
集中できない
ADHDを抱えるお子さんが集中できていない状況も親御さんからすると、怒ってしまうシチュエーションです。
たとえば、子どもに対して真剣な話をしているのに、多動性や衝動性の特性が発揮されてしまい、上の空状態で聞かれていたとしたらどうでしょうか。
やはり感情的になってしまう恐れもあるので、以下の具体例を確認してください。
悪い例: “どうしてちゃんと聞かないの!ちゃんとなさい!”
良い例: “集中できない?じゃあどうしたら集中できるか一緒に考えようか? ”
癇癪を起す
子ども時代に癇癪を起こすことも多いですが、ADHDのお子さんは突発性があるためより癇癪を起こしやすくなります。
親御さんにとってお子さんの癇癪となると、どう対処すればいいかがわからなくなってしまい、感情的になりがちです。
もし、感情的になりそうになったら以下の具体例で良い例の文言を使うようにしてください。
悪い例: “怒っても仕方ないでしょ!やめなさい!! ”
良い例: “そうか、感情が高ぶっちゃったんだね。深呼吸してみようか。冷静になれるよ。…どうして怒っているのか、あとで聞かせてくれる? ”
忘れ物が多い
最後の親御さんが感情的になってしまいがちな例は、忘れ物です。
お子さんが忘れ物をしたとなると、親御さんは事前に伝えていたのになぜ忘れてしまったのかと怒りの感情が出てしまいます。
ただ、ここで感情的になると子どもの反省を促せないので、以下のような文言を使うようにしましょう。
悪い例: “だから昨日のうちに用意しておきなさいって言ったでしょ!注意しなきゃダメよ!”
良い例: “忘れ物が多いってどうしてもしちゃうから、用意するものをメモに書き出そうか。あと、どんなことしたら忘れなくなるかな? いろんな方法を試してみようよ”
悪い例、良い例を見比べると分かると思いますが、叱るとは決して感情をぶつけることではありません。
子どもが今後、最善の方法を取れるように導いてあげることです。このあたりを湾曲してとらえている親御三が、残念ながら多いように感じます。
親御さんは、お子さんの心を傷つけることなく、親子の絆が深まるような叱り方のトレーニングを積んでいきましょう。
ADHDの子どもの叱り方は、諭すようなイメージで。
ADHDの子どもは、何も本人が望んで動き回ったり、突然行動してしまったりする訳ではありません。
あくまでも、脳の機能によって、子どもは動かされているだけです。
ここのところをしっかりと理解していないと、子どもにとっては悪気のない行為なのに、「ダメな子」「悪い子」という烙印を押してしまいます。
そんな悲劇的な行為に及ばない様、親御さんは日常生活の中でも、常に冷静を保つことを忘れないようにしましょう。
とはいえ、親御さんだって人間なので、疲れているときやどうしても冷静になれない場合もあると思います。
そんな場合は一旦、お子さんから距離を取り「今の行動について、明日、話し合わせてくれる?」と、時間を置くようにしましょう。
時間を置くと意外と、「あれ?なんで怒っていたんだっけ?」と拍子抜けするほど平常心に戻れるものです。