サヴァン症候群とは?特徴や特性、適切なサポートの方法
「サヴァン症候群って何?」
「どんなことで困ってるの?」
「サヴァン症候群て、天才なの?」
発達障害のことを調べていると、サヴァン症候群の人たちの体験談にたどりつくことがありますよね。
サヴァン症候群の著名人も多く、ポジティブな意味で世間に認知されています。
サヴァン症候群とは突出した才能を発揮できる能力で、自閉スペクトラム症の約10%に発現する可能性があると言われています。
つまりサヴァン症候群の子は、自閉スペクトラム症で苦しんでいるということでもあるんです。
そこで今日は、サヴァン症候群について詳しく解説していきます。
この記事を読むと、サヴァン症候群の背景が分かり、お子さんをどのようにサポートすればいいのかが分かるので、ぜひ最後までお読みください。
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サヴァン症候群とは?
サヴァン症候群とは、発達障害や知的障害、精神障害などの脳機能の一部に社会行動を阻害する要因がありながらも、 人並外れた計算力や音感などを持ち合わせている状態を指しています。
著名なアーティストや学者の中にも、サヴァン症候群の傾向がある人が多く存在し、いわゆる天才型の障害として有名です。
ただし、汎用的な能力が全て天才的ではなく、ある特定の分野に対してのみ特化しているので、社会生活を送る上では困難を極めることもあります。
サヴァン症候群はダウン症を発見したラングドン・ダウン博士によって発見され、自閉スペクトラム症の男性に多い症状として知られています。
ですが未解明な部分が多いため、研究は今でも盛んに行われているようです。
サヴァン症候群の著名人
サヴァン症候群として知られる著名人を一部ご紹介します。
山下清
野口英世
ジョナサン・ラーマン
キム・ピーク
ダニエル・タメット
調べてみると分かりますが、基本的にアート界隈で活躍されている方が多い印象です。
また、言語を操る小説家などにサヴァン症候群の人はほとんどいません。
つまりサヴァン症候群は、空間把握能力や、計算能力、そして音への能力が突出して高くなる傾向にあるということが分かります。
サヴァン症候群の特徴と傾向
サヴァン症候群の簡単な概要をお話ししたところで、特徴や傾向について深掘りしていきましょう。
サヴァン症候群の特徴①:芸術や学術方面で活躍する可能性がある
特長の1つ目は先ほどもお伝えしたように、芸術や学術方面(特に数学分野)で大きな成功を収める人が多いこと。
さらに言うと、幼少期から卓越した能力を発揮し、周りの人を驚かせたエピソードが多くあります。
また特徴的な能力として、数字や文字に対して、色や形、そして匂いが分かる『共感覚』の能力を持ち合わせている人もいるようです。
サヴァン症候群の特徴②:未解明な部分が多い
サヴァン症候群は自閉スペクトラム症の人や男性に多いといった点以外は、脳の未解明部分にアプローチする必要がある為、ほとんど何も分かっていない状態です。
ですが未解明ながらも、人の潜在的な能力を発揮する研究対象として、日夜研究が行われている分野でもあります。
ある仮説では、多くの人の中にはサヴァン症候群のような突出した能力が眠っているのに、脳がそれを制限してアクセスできないようにしているとされています。
仮にこれが正しければ、走馬灯や火事場の馬鹿力といった現象も簡単に説明がつくことになり、なんだか嬉しくなりますね。
サヴァン症候群の特徴③:突出した能力とその他の差が大きい
サヴァン症候群を持つ子の重要な傾向として、突出した能力とその他の差が大きいということを押さえておかなければなりません。
なぜならサヴァン症候群は、自閉スペクトラム症や知的障害・精神障害といった、社会生活を送る上で大きな障害となる病気も併発している可能性が高いからです。
例えば、自閉スペクトラム症の場合、対人関係が苦手でこだわりが強く、コミュニケーションにおいて軋轢が生まれてしまう場合があります。
この点に注意してサポートしていかないと、お子さんは天才的な能力を発揮する前に、自分の殻に引きこもりがちになってしまい、全ての行動に対して自信を持てなくなってしまうからです。
サヴァン症候群の特徴④:自閉スペクトラム症のお子さんの約10%がサヴァン症候群の傾向がある
自閉スペクトラム症の子にサヴァン症候群の特徴がよく現れると解説してきましたが、実際の数値として表すと、約10%がサヴァン症候群として考えられています。
他には精神障害もしくは脳障害の場合、2000人に1人の割合でサヴァン症候群が見られるようです。
また、サヴァン症候群は一部先天的な能力として考えられるものもありますが、脳障害などで後天的にサヴァン症候群のような能力を獲得した方もいます。
つまり、どんな人にもサヴァン症候群の能力が現れるかも知れないと覚えておいてください。
サヴァン症候群のある人の困りごと
成功している人に多く見られる特徴として取り上げられることの多いサヴァン症候群ですが、彼らも困りごとを沢山かかえています。
何度かお伝えしていますが、サヴァン症候群は何らかの能力と引き換えに手に入れられる、突出した能力です。
何かと引き換えなのですから、基本的に日常生活では苦しい思いをされている方が多いことを頭に入れておいてください。
この項目ではサヴァン症候群の困りごとについて解説していきますので、サポートの際の参考にしてください。解説していくのは、以下の3点です。
天才的な能力と勘違いされる点
傑出した能力は一部である点
日常生活が困難な点
サヴァン症候群のある人の困りごと①:天才的な能力と勘違いされる
瞬間記憶や絶対音感などの能力は、持っているだけでお子さんは神童として扱われる可能性があります。
神童という言葉は自己肯定感を増すため、ポジティブに利用できるのであればいいのですが、大変な重圧となってしまう可能性もあります。
サヴァン症候群のある人の困りごと②:傑出した能力は一部である
天才的な能力があると、偏見としてその他の能力も突出していると世間からは受け取られがちです。
ですが何度もお伝えしているように、サヴァン症候群は何かの能力を犠牲にして得られる能力です。
そのため余計に誤解を生みやすく、親御さんや学校の先生など周りの大人達がこのことを理解してあげる必要があります。
ここはとても重要なことで、周囲の理解がなければ、突出した能力を発揮する前に『潰れてしまう』可能性もあるのです。
著名人の大半は、周りの適切なサポートがあったからこそ、その才能をいかんなく発揮し社会の中でのし上がれたと考えましょう。
そして足りない部分を上手にサポートしながら、お子さんの個性を最大限に発揮できる環境作りを目指してください。
サヴァン症候群の能力
ではサヴァン症候群の能力について解説していきます。
具体的に主な能力として解説するのは以下の通りです。
カメラアイ
空間把握能力による芸術的なセンス
絶対音感による音楽的才能
圧倒的な計算能力
サヴァン症候群の能力①:カメラアイ
サヴァン症候群の有名な能力の1つに、カメラアイがあります。
カメラアイとは、瞬間記憶能力のことで、一目見ただけで教科書の内容などを全て暗記してしまうことです。
ですが反面、心的外傷などの衝撃的な光景なども忘れられなくなってしまうため、
フラッシュバックに悩まされる可能性もあります。
サヴァン症候群の能力②:空間把握能力による芸術センス
サヴァン症候群は、空間把握能力に優れているといった特徴もあります 。
カメラアイと同時期に発現すれば、見たままの風景をそのまま絵画に描き出すこともできるんです。
芸術的な才能で突出したスキルを見せる子には、両方の能力が発現している可能性があります。嬉しい発見ですね。
サヴァン症候群の能力③:絶対音感による音楽的才能
また、絶対音感も能力の1つです。
絶対音感とは、全ての音を聞き分けることができ、楽器を用いて忠実に再現できる能力を言います。
ピアノ演奏者など、多くの音楽家がこの才能を持っていると言われています。
サヴァン症候群の能力④:圧倒的計算能力
また数学家として有名な、サヴァン症候群の人もいます。
サヴァン症候群の人は、圧倒的な計算能力を手に入れることができるのです。
単純な計算から複雑な計算まで瞬時に計算できるということは、数学の専門家として突出した能力と言えるでしょう。
サヴァン症候群の診断について
サヴァン症候群の診断については、明確な基準がありません。
自閉スペクトラム症に関しては診断基準があるため、診断を受けた結果、サヴァン症候群ではなく自閉スペクトラム症と診断される可能性も高いです。
この診断については間違いと言うより、基本的にサヴァン症候群は自閉スペクトラム症の一部であると考えても差し支えありません。
※冒頭にもお伝えしたように、その他の知的障害や精神障害でも、同様のことが言えます。
サヴァン症候群の傾向にある子どものサポート
最後の項目では、診断は受けていないけれど、サヴァン症候群の傾向にある子に対して、どのようなサポートが必要なのかをお伝えしていきます。
※自閉スペクトラム症との合併についてのみ
具体的には以下の3点です。
特別扱いをしないこと
環境を整えてあげること
苦手をなくすこと
特別扱いをしないこと
過度な期待がお子さんにとって、プレッシャーになる可能性があります。
環境を整えてあげること
突出した才能を生かせる環境を整えてあげましょう。
突出した才能を伸ばして、成功体験を積ませれば、苦手なことをする時にも自信を持って取り組めるようになるからです。
このような成功体験が、さらに次の苦手を克服できるやる気や自信になります。
苦手をなくすこと
自閉スペクトラム症の子は、対人コミュニケーション等が不安で、日常生活を送るのが難しくなります。
ですが生きていく上では、どうしても他人とのコミュニケーションが必要になります。
少しずつ無理のないコミュニケーションを重ねて、まずはコミュニケーションに対する不安を取り除いてあげましょう。
知能は高い子たちなので、精神的な不安をなくすことができれば、様々な困難を乗り越えることができます。
子どもの個性や特性を理解したサポートで、天才的な能力を発揮させてあげましょう!
サヴァン症候群の子には突出した能力が発現しますが、同時に様々な障害も合わせ持っています。
突出した能力に磨きをかければ、小さな頃から特定の分野で活躍できる天才的な子が育つ可能性は大きいです。
ですがそれは、親御さんが適切な環境を作り上げ、理解を深めたサポートがあってこそ伸びる能力です。
その子にピッタリあったサポート方法を見つけていけば、子どもの能力をいくらでも伸ばすことができます。
それを楽しみに、いろんなサポートのやり方を試してみてください。